Nature ハイライト

ウイルス学:cOAを標的とする新規な抗CRISPR酵素

Nature 577, 7791

細菌とアーキアのIII型CRISPR–Cas系は、ウイルスRNAを感知すると、効果的な免疫に必要なシグナル伝達分子のサイクリックオリゴアデニル酸(cOA)を合成する。今回M Whiteたちは、ウイルスが、cOAを迅速に分解する抗CRISPR(Acr)酵素の新規なファミリーを持つことを報告している。彼らは当初、アーキアのSulfolobus islandicusを使った研究で未知のオープンリーディングフレーム(ORF)を見つけ出し、このORFがウイルス防御機構に対抗する特徴を持ち、Acr酵素に似ていることに気付いた。さらに行われた生化学解析、構造解析によって、この酵素(AcrIII-1)が全く新規な折りたたみ構造を使ってシグナル伝達分子のcA4に特異的に結合し、保存されている活性部位を使ってこれを迅速に分解することが明らかになった。このシグナル伝達分子は細菌とアーキアに広く存在するので、ウイルスの攻撃に対する防御機構に重要な役割を担っていると考えられる。

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