Nature ハイライト
Cover Story:進化のパターン:全ゲノム解析による哺乳類と鳥類における多様性と選択の追跡
Nature 587, 7833
ヒトのゲノム塩基配列解読は、ますます日常的になっているが、他の種の大半ではまだそれほど一般的でなく、ゲノムデータベースで捉えられているのは生物多様性のごく一部でしかない。今回、3報の論文がこの不均衡の是正に取り組み、脊椎動物の進化の未知の枝を調べている。論文の1つでは、鳥類10Kゲノム計画のG Zhangたちが、新たに塩基配列が解読された267種の鳥類を含む、鳥類の科の90%以上を代表する363種のゲノムを比較している。もう1つの論文では、ズーノミア計画のE Karlssonたちが、新たに塩基配列が解読された122種を含む、有胎盤哺乳類(真獣下綱)の科の80%以上を代表する240種の解析について報告している。こうした大量のデータセットの解析には、どちらのチームも、3報目の論文でB Patenたちが説明しているProgressive Cactusと呼ばれる新しいソフトウエアを使った。このソフトウエアは、グラフを使って祖先ゲノムを再構築することで、数億年の進化にわたって数千種のゲノムを並べることができる。表紙の画像は、このプロセスを反映しており、定型化した数学的なグラフを使って、このソフトウエアに光を当てるとともに今回塩基配列が解読されたいくつかの生物種を星座として描いている。
2020年11月12日号の Nature ハイライト
核物理学:地下深くから宇宙を探る
物性物理学:モアレ超格子における豊富な相関状態
大気科学:温暖化する気候によって遅くなる上陸後のハリケーンの衰弱
ゲノミクス:数百例のゲノムを並べる多重アラインメントツール
ゲノミクス:鳥類363種の全ゲノムアラインメント
神経科学:マウスの脊髄で情動的接触と痛みを伝える経路
コロナウイルス:ヒトでのSARS-CoV-2に対するCD4+ T細胞応答
免疫学:N4BP1はTRIFと共役するTLR3やTLR4、およびTNFの下流で機能するサイトカイン産生の負の調節因子である
分子生物学:DNAの働きは塩基配列だけにあらず
免疫学:マラリア原虫のRIFINはMHCクラスI分子を模倣する