Nature ハイライト
細胞:ゲノムおよびクロマチンの摂動を感知する
Nature 498, 7452
DNAに二本鎖切断が起こると、ATM(ataxia telangiectasia mutated)キナーゼが活性化される。アセチルトランスフェラーゼのKAT5が、修飾されたヒストン標識であるH3K9me3に結合すると、ATMをアセチル化してその活性化を促進する。今回、A KaidiとS Jacksonは、DNA損傷後にc-AblキナーゼがKAT5のチロシン44をリン酸化し、KAT5とH3K9me3の相互作用を増強させてATMを介するシグナル伝達を可能にし、DNA損傷チェックポイントを開始させることを示した。これらの知見は、治療薬として開発されているリシンデアセチラーゼ阻害剤の作用機構の説明に役立つと考えられ、従って、そうした薬剤をがんや神経変性疾患で最も効果的に用いる方法を知るための手がかりにもなるだろう。
2013年6月6日号の Nature ハイライト
古生物学:保存状態の良好な初期霊長類の化石
神経科学:ラットは上を目指す
細胞:ゲノムおよびクロマチンの摂動を感知する
物性物理学:擬ギャップ周辺の転移
物理学:フェルミガス中の第二音波
応用物理学:ラマン分光による単一分子の内部構造解明
地球:太古の石英に見つかった始生代の大気中のアルゴン
微生物学:糖尿病リスクの腸内マーカー
免疫:腸内細菌に対する免疫応答
生化学:隠れた代謝産物がタンパク質合成に関わっている