Nature ハイライト
生化学:隠れた代謝産物がタンパク質合成に関わっている
Nature 498, 7452
さまざまな細胞過程で最終的なメディエーターとして働く小型分子の多くは、代謝経路を解明する従来の技術ではその正体が明らかになりにくいため、これまで報告されたことがなく、詳しい性質も明らかにされていない。J Kimたちは、こういった分子の1つが、カルボキシ-S-アデノシル-L-メチオニン(Cx-SAM)であることを突き止めた。これまで知られていなかったこの代謝産物は、SAM依存性メチルトランスフェラーゼスーパーファミリーに属する大腸菌の酵素CmoAの構造研究の際に発見された。Cx-SAMは、CmoAの活性部位に埋もれていたのである。そして、珍しい反応性イリド中間体を経て進行するCx-SAMの生合成経路が明らかにされ、Cx-SAMはいろいろな細菌でtRNA修飾に関わっていることがわかった。この研究は、新しい代謝産物や経路の発見に構造ゲノミクスが役立つ可能性をはっきり示している。
2013年6月6日号の Nature ハイライト
古生物学:保存状態の良好な初期霊長類の化石
神経科学:ラットは上を目指す
細胞:ゲノムおよびクロマチンの摂動を感知する
物性物理学:擬ギャップ周辺の転移
物理学:フェルミガス中の第二音波
応用物理学:ラマン分光による単一分子の内部構造解明
地球:太古の石英に見つかった始生代の大気中のアルゴン
微生物学:糖尿病リスクの腸内マーカー
免疫:腸内細菌に対する免疫応答
生化学:隠れた代謝産物がタンパク質合成に関わっている