Nature ハイライト
物性物理学:擬ギャップ周辺の転移
Nature 498, 7452
擬ギャップは、異常な物理的特性を特徴とする銅酸化物超伝導体の相図の一部であり、その性質は20年以上にわたって強い関心を集めてきた。また擬ギャップは、高Tc超伝導のまだ明らかにされていない機構を解明する手がかりになるかもしれない。銅酸化物超伝導体は、最適ドーピング付近では、量子臨界点周辺での強いゆらぎが関係していると考えられる「異常金属」という挙動を示す。今回、YBa2Cu3O6+δの擬ギャップが相転移線を境としていることが報告された。この相転移線のドーピング依存性は、超伝導ドーム内において相転移線がゼロ温度で終わるようなものであることが明らかになっている。この結果は、銅酸化物の異常金属としての挙動が量子臨界性によってもたらされることを示唆している。
2013年6月6日号の Nature ハイライト
古生物学:保存状態の良好な初期霊長類の化石
神経科学:ラットは上を目指す
細胞:ゲノムおよびクロマチンの摂動を感知する
物性物理学:擬ギャップ周辺の転移
物理学:フェルミガス中の第二音波
応用物理学:ラマン分光による単一分子の内部構造解明
地球:太古の石英に見つかった始生代の大気中のアルゴン
微生物学:糖尿病リスクの腸内マーカー
免疫:腸内細菌に対する免疫応答
生化学:隠れた代謝産物がタンパク質合成に関わっている