Nature ハイライト
細胞:血管新生タンパク質であることが分かったLRG1は薬剤標的候補
Nature 499, 7458
血管新生の異常は、加齢性黄斑変性症やアテローム性動脈硬化、関節リウマチ、がんなどの多くの病気に共通する特徴である。今回J Greenwoodたちは、これまで機能が不明だったLRG1(leucine-rich alpha-2-glycoprotein 1)が新規な血管新生糖タンパク質で、TGF-βシグナル伝達の調節を介して作用していることを明らかにしている。LRG1は、増殖性糖尿病性網膜症患者の硝子体試料で発現が増えており、受容体のエンドグリンに結合して血管新生促進性のTGF-βシグナル伝達を促進することで、血管新生のスイッチをオンにする。網膜損傷のマウスモデルで抗体を使ってLRG1を阻害すると病的な血管新生が抑制されるので、LRG1は眼病で見られる病的血管新生を制御する治療標的になると考えられる。
2013年7月18日号の Nature ハイライト
神経科学:神経活動を調べるための新しいセンサー
発生:筋肉を作り上げるタンパク質
細胞:血管新生タンパク質であることが分かったLRG1は薬剤標的候補
物理:ジョセフソン効果の新展開
材料:二段階プロセスによる太陽電池の大幅な性能向上
生物無機化学:ハロゲナーゼSyrB2反応中間体の構造
地球:森林の水利用効率の大幅な上昇
医学:腸チフスの鍵となる新規毒素
生物物理:リボスイッチには、オン、オフと「状況次第」がある
分子生物学:転写の方向性を制御する