Nature ハイライト
医学:腸チフスの鍵となる新規毒素
Nature 499, 7458
サルモネラ菌(Salmonella enterica)の一種であるチフス菌(Salmonella enterica serovar Typhi;S.Typhi)の病原特性の生物学的基盤はほとんど分かっていない。チフス菌は、腸チフスとして知られる致命的な全身性感染症を引き起こすが、サルモネラ菌の他のほとんどの血清型は無害であるか、あるいはそれほど重篤でない胃感染症や食中毒に関連している。今回、チフス菌独自のAサブユニット2個を含む新規のAB型毒素であるチフス菌毒素の投与により、腸チフスの急性症状の多くが再現されることが示された。さらに、細胞表面糖タンパク質の糖がチフス菌毒素の受容体であることが突き止められ、この毒素の結晶構造の決定によって毒素と受容体間の相互作用についての手がかりが得られた。こうした進展からすると、腸チフスの治療には抗毒素を用いる方法が有効であろうと考えられる。
2013年7月18日号の Nature ハイライト
神経科学:神経活動を調べるための新しいセンサー
発生:筋肉を作り上げるタンパク質
細胞:血管新生タンパク質であることが分かったLRG1は薬剤標的候補
物理:ジョセフソン効果の新展開
材料:二段階プロセスによる太陽電池の大幅な性能向上
生物無機化学:ハロゲナーゼSyrB2反応中間体の構造
地球:森林の水利用効率の大幅な上昇
医学:腸チフスの鍵となる新規毒素
生物物理:リボスイッチには、オン、オフと「状況次第」がある
分子生物学:転写の方向性を制御する