Nature ハイライト
物理:ジョセフソン効果の新展開
Nature 499, 7458
ブライアン・ジョセフソンは1962年に、トンネル接合のような、弱結合で隔てられた2つの超伝導体の間を、無散逸の「超伝導電流」が流れるはずであると提案した。彼は正しかったし、このジョセフソン効果から、磁気測定、医学、天文学に応用できる新しい研究分野が立ち上がった。今回、ジョセフソン効果でこれまで見落とされていたある側面について報告されている。ジョセフソン接合の既存の応用例は、基底状態の特性しか利用していないが、こうした例では、超伝導電流を運ぶ電子対は弱結合に局在し、基底対状態と励起対状態のいわゆる「アンドレーエフ二重項」を形成している。L Bretheauたちは、励起アンドレーエフ対状態が存在することを、超伝導原子接触の分光学的測定を通して確かめた。トンネル電子対に対してこれまで見落とされてきたこの自由度は、新しい種類の超伝導キュービットに利用できる可能性のある新しい量子資源となる。
2013年7月18日号の Nature ハイライト
神経科学:神経活動を調べるための新しいセンサー
発生:筋肉を作り上げるタンパク質
細胞:血管新生タンパク質であることが分かったLRG1は薬剤標的候補
物理:ジョセフソン効果の新展開
材料:二段階プロセスによる太陽電池の大幅な性能向上
生物無機化学:ハロゲナーゼSyrB2反応中間体の構造
地球:森林の水利用効率の大幅な上昇
医学:腸チフスの鍵となる新規毒素
生物物理:リボスイッチには、オン、オフと「状況次第」がある
分子生物学:転写の方向性を制御する