Nature ハイライト
分子生物学:転写の方向性を制御する
Nature 499, 7458
RNAポリメラーゼII(RNAPII)は、転写活性のあるほとんどの遺伝子プロモーターからどちらの方向に向けても転写を開始するが、生産的な伸長はセンス鎖(コーディング方向)のみに制限されており、それがどういう機構によるのかは明らかになっていない。A Almadaたちは、哺乳類細胞では遺伝子転写開始点に隣接して方向性を決定する塩基配列が非対称に存在し、これらがプロモーターの方向性を制御していることを報告している。上流側のアンチセンスRNAは転写開始直後に切断され、ポリ(A)部位(PAS)でポリアデニル化されるのに対して、センス方向ではPASシグナルが抑制されている。タンパク質をコードしている遺伝子は、時期尚早に起こる切断を防止するU1 snRNP スプライシング部位に多く存在する。従って、U1とPAS配列が転写伸長の方向性を定め、拡散的な転写を制限している。
2013年7月18日号の Nature ハイライト
神経科学:神経活動を調べるための新しいセンサー
発生:筋肉を作り上げるタンパク質
細胞:血管新生タンパク質であることが分かったLRG1は薬剤標的候補
物理:ジョセフソン効果の新展開
材料:二段階プロセスによる太陽電池の大幅な性能向上
生物無機化学:ハロゲナーゼSyrB2反応中間体の構造
地球:森林の水利用効率の大幅な上昇
医学:腸チフスの鍵となる新規毒素
生物物理:リボスイッチには、オン、オフと「状況次第」がある
分子生物学:転写の方向性を制御する