Nature ハイライト
マラリア:新しいタイプの抗マラリア薬、二環式アゼチジン
Nature 538, 7625
これまでの抗マラリア薬は、主に天然物か「ドラッグライク」な合成化合物に由来するものだった。今回S Schreiberたちは、天然物によく似た化合物のライブラリーのスクリーニングを行って、マラリア原虫(Plasmodium)に対し非常に強い活性を示す有望な低分子を発見した。特に興味深いのは、マラリアの新しい標的であるフェニルアラニンtRNAリガーゼを阻害する二環式アゼチジン類である。肝臓ステージのマラリアのヒト化マウスモデルなどのさまざまなマウス感染アッセイから、この二環式アゼチジン類をマウスに単回低用量投与することで、全ての生活環段階のマラリア原虫の感染から治癒させられることが明らかになった。これらの化合物を使えば、単回経口投与でマラリアが治癒し、伝播を防げる可能性がある。
2016年10月20日号の Nature ハイライト
計算生物学:構造が固定化されたペプチドの設計と合成
マラリア:新しいタイプの抗マラリア薬、二環式アゼチジン
微生物学:Frizzledは抗C. difficile薬の標的である
高エネルギー宇宙物理学:異常なフレアを起こしている2つのX線源
超高速フォトニクス:マルチペタヘルツ周波数で動作するエレクトロニクス
ナノフォトニクス:分子スケールでのエネルギー移動の制御
地球力学:インド洋地震後のマントルレオロジー
地球力学:インド洋地震後の上部マントルダイナミクス
幹細胞:霊長類モデルで、発作を起こした心臓が幹細胞で回復
細胞生物学:腫瘍細胞の生存を支えるエピシャペローム
分子生物学:Cezanne(OTUD7B)の構造と機能