Nature ハイライト

分子生物学:Cezanne(OTUD7B)の構造と機能

Nature 538, 7625

小さな修飾タンパク質であるユビキチンは1個で、あるいは複数分子からなるポリユビキチン鎖として他の多くのタンパク質に結合することができ、多様な細胞過程を調節している。ポリユビキチン鎖に含まれるユビキチン分子間の結合型は8種類あり、ユビキチン鎖は結合型によって独立に調節を受けるので、その結果として基質タンパク質の運命に違いをもたらす。そのため、こうした情報を内包するユビキチン鎖は「ユビキチンコード」とも呼ばれている。D Komanderたちは今回、脱ユビキチン化酵素Cezanne(別名OTUD7B)の単独での構造、また基質や生成物と複合体を形成した状態での構造を解くことで、Cezanneが特異的にリシン11(Lys11)結合型ポリユビキチンを標的とする仕組みを調べた。この研究は、Lys11結合型のポリユビキチンに対してのみ活性を示すCezanneで、ユビキチンを介して引き起こされるコンホメーション変化の機構に関する手掛かりを与えるだけでなく、ユビキチンシグナル伝達の解析に将来使えるような革新的な手法の開発にもつながるものである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度