Nature ハイライト
ナノフォトニクス:分子スケールでのエネルギー移動の制御
Nature 538, 7625
エネルギー移動は、光合成や人工的なエネルギーハーベスティングデバイスに不可欠である。Y Kim(理化学研究所)たちは今回、走査トンネル顕微鏡法を用いて、実空間において分子サイズ以下の空間分解能でエネルギー移動過程をプローブできることを示している。これが可能なのは、分子二量体中のドナー種を局所的に励起させると、ドナー種と隣接アクセプター種の間で共鳴エネルギー移動が起こり、結果としてアクセプター種から発光信号が生じるからである。また、往復の共鳴エネルギー移動が観測された他、アクセプター種の構造が切り替わるために二量体内のエネルギー移動特性が変化することも示されている。今回の結果は、このタイプの局所的な励起ダイナミクスが、超高速の情報伝送や情報処理に向けて、分子構造体内のエネルギー移動を制御する単分子バルブデバイスとして発展する可能性を示すものである。
2016年10月20日号の Nature ハイライト
計算生物学:構造が固定化されたペプチドの設計と合成
マラリア:新しいタイプの抗マラリア薬、二環式アゼチジン
微生物学:Frizzledは抗C. difficile薬の標的である
高エネルギー宇宙物理学:異常なフレアを起こしている2つのX線源
超高速フォトニクス:マルチペタヘルツ周波数で動作するエレクトロニクス
ナノフォトニクス:分子スケールでのエネルギー移動の制御
地球力学:インド洋地震後のマントルレオロジー
地球力学:インド洋地震後の上部マントルダイナミクス
幹細胞:霊長類モデルで、発作を起こした心臓が幹細胞で回復
細胞生物学:腫瘍細胞の生存を支えるエピシャペローム
分子生物学:Cezanne(OTUD7B)の構造と機能