Nature ハイライト
細胞生物学:腫瘍細胞の生存を支えるエピシャペローム
Nature 538, 7625
シャペローム(chaperome)は、シャペロン、コシャペロン、アダプター、折りたたみ酵素が動的な複合体になったもので、細胞の恒常性を調節している。正常細胞ではこのような複合体は一過性だが、今回G Chiosisたちは、がんなどのストレス条件下では、シャペロームが安定なネットワークを形成して、有害な細胞の生存を助けていることを明らかにした。このようなより大きな「エピシャペローム(epichaperome)」複合体は、患者試料では組織の起源や遺伝的背景に関係なく見られ、全てのがんの半数以上に存在し得ることが分かった。これらの知見から、シャペロームの構成要素ではなく、エピシャペローム自体を標的とすることが新しいがん治療法の開発につながると考えられる。
2016年10月20日号の Nature ハイライト
計算生物学:構造が固定化されたペプチドの設計と合成
マラリア:新しいタイプの抗マラリア薬、二環式アゼチジン
微生物学:Frizzledは抗C. difficile薬の標的である
高エネルギー宇宙物理学:異常なフレアを起こしている2つのX線源
超高速フォトニクス:マルチペタヘルツ周波数で動作するエレクトロニクス
ナノフォトニクス:分子スケールでのエネルギー移動の制御
地球力学:インド洋地震後のマントルレオロジー
地球力学:インド洋地震後の上部マントルダイナミクス
幹細胞:霊長類モデルで、発作を起こした心臓が幹細胞で回復
細胞生物学:腫瘍細胞の生存を支えるエピシャペローム
分子生物学:Cezanne(OTUD7B)の構造と機能